私は自分の好きなものを人に「推す」のが苦手だ。ブログを書いているけれど特に本、食べ物、バンド、漫画、映画は難しい。
好きなものは沢山ある。けれど「最近おすすめの〇〇とかありますか?」と聞かれると、うまくいかない。
映画や本も友人と話す時は「良かったよ、〇〇な感じで」とサラッと終わってしまう。
食べログなどのコメントも振り返れば、ただの日記のようになっている。例えばこう。
「平日の13時ごろに訪問、8人ほどの並び、30分くらい並んで入店。着座後、15分ほどで着丼。見た目はシンプルな醤油ラーメン。具もシンプルにチャーシュー、めんま、ねぎのみ。まずはスープから。無加調がこだわりらしいこの店らしく、上品かつコクがありうまい。麺はシンプルな中太ちぢれ麺でスープとよく絡んで絶品だ」
なんとも個性のない文章になってしまう。そもそも自分が読んでもあまり旨そうにも感じない。文才無いなぁ、どうにかならないものか。なかなかあきらめがつかず「好きなもの」をおすすめする文章を書く技術について書かれた本を探していた時に見つけたのが今回ご紹介する一冊です。
「推し」の魅力を解説する方法、コツが具体的でわかりやすい。
これなら自分にもできる!と思えるテクニックと視点が満載です。
「好き」を言語化する技術 推しの素晴らしさを語りたいのに「やばい!」しかでてこない 筆者 三宅 香保
この本からは「推し」の良さを語る方法をとことん具体的に学べます
「推し」の良さを言語化するのに必要なものは文才ではなく、観察力や語彙力でもないんです。
??じゃあ、何が必要なの?
ずばりそれは「妄想力」です。どういうことなのか?ポイントを押さえながら解説していきますね。
この作品のポイント
他人に伝わる自分の「好き」を言語化するコツ
本書の1番のポイントはここ。「推しのライブ」というイメージのしやすい例を挙げて書き方を教えてくれます。
細かく具体例を挙げることのなにがいいのか。感想のオリジナリティは細部に宿るからです。
例えば、ライブの感想に「最高!」という言葉しか出て来ない悩みはライブの「どこが」最高だったのかを言えたら解消されます。ライブで「この曲」が演奏されたのが嬉しくて、「この歌詞が」あらためて響いて、「この演出が」自分の心を揺さぶった。
そんなふうに、最高だった点を細分化さえできれば、じつは語彙力なんてなくても、あなたのオリジナルな感想になり得るのです。
引用元:「好き」を言語化する技術 推しの素晴らしさを語りたいのに「やばい!」しかでてこない 筆者 三宅 香帆
メモの取り方も具体的にサンプルで示してくれています。
(具体例〉
ライブが凄く良かった。あの良さを言語化したい。そう思った時にまずやるべきは「自分は」「どこが」良かったのかを具体的に思い出すこと!
・一曲目に〇〇の曲がきたこと
・〇〇のタイミングのMCで「〇〇」という発言がでたこと
・〇〇のダンスがうまくなっていたこと
・〇〇の衣装が可愛かったこと引用元:「好き」を言語化する技術 推しの素晴らしさを語りたいのに「やばい!」しかでてこない 筆者 三宅 香帆
あ、確かに。瞬間、瞬間で印象にのこる場面があるものね。
まずはそこを書き出す。そして自分がどんな感情を抱いて、なぜそう思ったのか。をメモに書いてみるんです。
感情を言語化する3つのパターン
自分の感情が動いたポイントをメモしたら、次は他人に伝わる形にしていくにはどうしたらいいのか?を本書は教えてくれます。
あなたが「これが好き!これが良い!」とポジティブな感想を思う時、その感情の中には「共感」や「驚き」があるのではないでしょうか。
本書でもこのように書いてあります。
「共感」とは、自分も同じような体験や感情を知っていて、それをぴったりくる言葉にしてもらったことへの快感です。決して「自分も同じ体験をした」という意味だけではありません。自分も同じようなものが好きである」という同じ好みを辿ってきたその遍歴への共感です。
一方で「驚き」とは、それまで見たことのないような未知の手法に出会った時の快感です。そういう表現があったのか、そこでこうくるのか、という裏切り、意外性への感動ですね。マジックを見ているような感覚です。
引用元:「好き」を言語化する技術 推しの素晴らしさを語りたいのに「やばい!」しかでてこない 筆者 三宅 香帆
それを踏まえて、自分がなぜその感想を抱いたのか、その原因を考える。それが「感想の言語化」であるといいます。
ここで大切なのが冒頭でお伝えした「妄想力※自分の考えを膨らませる力」です。
ポイントはなぜ、自分がそう感じたのかを考えることです。
感想の中に含まれる共感、驚きを文章にするための3つのパターンが紹介されています。
感想を言語化する3つのパターン
- 自分との共通点を探す自分も同じような体験をした。
例:その時にこの感情を抱いた。その感情がこのシーンでも表現されている。 - 好きなものとの共通点を探す
自分の体験との共通点を探す。自分の好きなものとの共通点を探す。 - どこが新しいのかを考える。
よく見慣れたジャンルで特別に好きだ!と思えるものには、なにか「新しさ」が入っている。
実践 学んだことで自分の「好き」を言語化してみた
さっそく自分でもやってみました。普段なら、「昨日見たかまいたちの動画、面白かったな〜」で終わってしまうところを本書の指南通り、自分の感じた「面白い!好きだなぁ」と思った点を膨らませてることができました。拙い文章ですが、お付き合いください。
YouTubeの感想
お酒をあまり飲まない人にこそ見て欲しい!
芸人かまいたちのYouTubeチャンネル”ねおミルクボーイ”で「この酒の飲み方なんなん?」かまいたちの山内が"コレ何やねん!"と気になる酒の飲み方を発表!という回の山内のコメントが的確すぎた。
山内はお酒がそもそも好きではない。そんな彼が"コレ何やねん!"と思っている酒の飲み方が3種類紹介された。
なんか当たり前にやってるけど、「それ、どういうことなん?」という飲み方がされる3種類のお酒は以下。
- 枡酒〔日本酒を枡に入れたグラスに注ぎ、溢れさせる。〕
- ふぐのひれ酒
- テキーラショット
すごく有名な飲み方。私も飲めないわけではないが、特に好きでもない。ひれ酒などは特に苦手だ。
山内がいうのは、
「なんでわざわざ溢れさすのか?」
「升にグラスを置くのはなぜか?」
「一つのグラスに入れた方が効率的ではないか」
いや、ホントそれな。ずっとニヤつきながらうなずいてしまった。
「デカいコップに入れろや」は最高だったな。
フグのひれ酒について「今まで飲んだアルコール類の中でワースト」というコメントが出た。
「酒の中に魚のこんなんが入ってるのがわからん」
わかる、臭いよな。わかるよ、山内。私も飲めない。火をつけたりするのも、理解出来ない。
テキーラショットのくだりも良かった。
相方の濱家も好きではないというが、飲み干した後でチェイサーとしてレモンをかじる。アルコールの風味を中和するあの独特の飲み方。
「じゃあ、不味いやん」もわらった。
テキーラ一気を何杯してさ〜、なんてことを学生の時は自慢げに話していたけど、、うん、まずかったよね。カッコつけてただけど今なら言えるな。エタノールと同じですよ、あんなものは。
ひどい酔い方をするのに、なぜあんなものを飲んでいたのか。「酔い潰れる方がダサいからやめとけ」動画を見ながらあの頃に自分に言いたくなった。お酒が苦手な方はかまいたちの山内が"コレ何やねん!"と気になる酒の飲み方を発表!という回、ぜひ見て欲しい。
実際の動画はこちら。
まとめ 「推し」や「好き」を他人に伝えたい人はぜひ読んで欲しい
本書は「推し」や「好き」を感じた時にうまく表現しきれない。誰かにシェアしたいけど、魅力を伝えきれないという悩みを上手く解消してくれる本だと私は思う。
この作品のポイント
テンポ良く、「推しのライブ」という題材を使って感想を言語化するプロセスを紹介してくれるので取り入れやすいと思います。
その後の勉強の仕方、参考になるコラム、ちょっとした小話など「ふむふむ、なるほど。」と共感すること、すぐにやってみようと思う提案が盛りだくさんです。
好きなものを発信したい、人に気に入ったものをもっと上手く紹介したい。単純に文章をもっと上手く書けるようになりたい。少しでもそう感じているなら一読の価値ありです。それに加えて、自分が好きなものについて、「これのどこが自分は好きなのだろう、なんで好きなのだろう」と考えることでより自分のお気に入りを大切にするようになると思います。ぜひ読んでみてください。
最後までお読みいただきありがとうございました。