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「殺戮にいたる病」我孫子武丸 あらすじと感想レビュー

お勧め度:⭐️⭐️⭐️⭐️

あらすじ・感想レビュー

犯人自体は一行目にわかってしまいます。犯人の名前は蒲生稔。
話の中心人物は蒲生稔、その母親、一人の元刑事。それぞれの視点と時間軸で物語はすすんでいきます。

・蒲生稔は大学と家を往復する生活。昔から周りの人間をくだらないと考えながら、自分自身も行き場のない息苦しさを感じていました。初めて人を手にかけるまでは。

・母親は自分が家庭を築いたと自負しており、それを守ることに強いこだわりを持っています。旦那は頼りにならないとも思っています。地味で平穏な暮らしが続くことを願っていました。ある日、息子の様子がよそよそしいことに気づき、心配になった彼女は息子の部屋をのぞきます。そして「あるもの」を見つけてしまうことで、彼女の日々は不安に覆い尽くされていきます。

・妻に先立たれ寂しく暮らす元刑事、樋口。ある日、かつて部下でもあった男が樋口を訪ねに来ます。彼の口から告げられたのは樋口が昔お世話になったある女性の名前と彼女が亡くなったという報せでした。樋口はその女性から想いを寄せられていることに気づいていました。しかし妻を愛していた樋口はその想いに応えることはしませんでした。忘れかけていた記憶。仮通夜で彼女の実家を訪ねた時、彼女にそっくりな妹に出会います。ある時、姉とそっくりの格好をした妹は驚きの考えを樋口につたえてきます。

姉を殺した犯人が今のあたしをみれば、姉が生き返ってきたと思うんじゃないでしょうか。そうでなくても、動揺はするはずです。あたしは、姉が行ったかもしれない場所へこの格好で足を運んでみるつもりです。もし犯人がそこにいれば、その反応であたしには分かると思うんです。

引用元:殺戮にいたる病 P127 我孫子武丸 著 

当然、元刑事の樋口からすればそんな考えを許すわけもなく、、、、ここからはネタバレになるので、本書でご確認ください。

読み手を選ぶ過激な描写で、読んでてキツイ、、、という人も一定数いると思います、ですが、ラストシーンに向けて作中にあった小さな違和感が一気に回収されていくトリックはお勧めしないではいれません。夜の読書のお供にぜひ。

最後は本当に凄かった。
ミステリー好きの方には読んで欲しいです!

りくと
りくと

我孫子 武丸(あびこたけまる)・・・1962年、兵庫県西宮市生まれ。京都大学文学部哲学科中退。同大学推理小説研究会に所属。新本格推理の担い手として89年に「8の殺人」でデビュー。「殺戮にいたる病」などの重厚な作品から「人形はこたつで推理する」などの軽妙な作品まで多彩な作風で知られる。大ヒットゲーム「かまいたちの夜」シリーズの脚本を手がける。

引用元:新装版 殺戮にいたる病 講談社文庫

「かまいたちの夜」を手がけていた方だったんですね。確かに当時名前を読めない人がやってるって思った記憶があります。この作品の叙述トリックの巧みさも納得です。いやぁ、しっかり騙されました。

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